創作文・「美しき日々・・~それから・・~Beautiful days」⑫
조회 수 8786 2005.04.03 01:10:25
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nalysさまのスライドより・・・
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創作文・「美しき日々・・~それから・・~Beautiful days」⑫
翌日から、難しい検査が始まった。
血液と婦人科だけではなく、全身の検査があり、そのたびにアメリカ人のアーサー医師と聖ルチア病院の婦人科医のノム医師は、難しい表情をしていた。
夜になると、約束通りミンチョルがやってきた。
夕飯が済んだ頃、ヨンスは二階にあるロビーから、外を見ていた。
そこからは、駐車場が見えるのだ。
ミンチョルの姿をみつけると、ぱっと明るい表情になり、いそいで一階のロビーに下りた。
「おかえりなさい。」
「寝てなきゃ、だめじゃないか。」
「大丈夫です。病気じゃないんですから・・。」
「検査は、どうだった?」
ヨンスは、少し笑っただけで、それについては何も答えようとはしなかった。
「コーヒーを、飲みませんか?」
ロビーのある自動販売機で、カップのコーヒーを買った。
「ソウルからここまで、どのくらい時間がかかりますか?」
「うん、混んでいたから、2時間くらいだな・・。
高速も、渋滞していたよ。」
ヨンスは、コーヒーを飲むことよりも、ミンチョルの顔を見てばかりいた。
ほんの一日だけ、離れていただけなのに、ずっと会えなかったような感じがする・・・。
「お父様は、不自由されていないかしら・・?」
「大丈夫だよ。食べるものは、何でも買えるし、洗濯も自分でやっているんだよ。」
「まぁ、お父様が自分でされるの?」
「ああ、・・・しかし、少しさびしそうだよ。いつも、いる人がいないというのは、寂しいんだろうね。」
「・・・早く帰りたいわ・・・。」
泣かないと決めたのだ。彼の前では、悲しい顔はしないと・・・。
「・・・お仕事は、忙しい?」
「RiRiが新人賞をとってからは、どこのテレビ局からも引っ張りだこで、日本でもCDデビューの声がかかっているんだよ。
セナも今は、それは忙しいようで、ドラマ出演の次は、CFもとるらしいよ。」
「セナのテレビが見られるようになるのね。楽しみだわ。」
「セナにも、ここに遊びに来てもらうように頼もう。」
「ううん、いいの。セナには、入院していることは、黙っておいて・・・。」
複雑だった。妊娠していることを、まわりの人に話せば、喜んでくれるはずなのだが、それは産めるという前提であって、
ヨンスの場合は、そうではないのだから、余計に心配かけることがつらかった。
ミンチョルは、黙って下を向いていた。
ヨンスは、そっと彼の手を握った。
いつもの暖かいヨンスの手に、熱い愛を感じた。
いつも、この手に慰められ、力づけられ、安心してきた。
なにも、言葉にしなくても、こうするだけですべてが通じた。
「部屋に戻ろう。もう、休んだ方がいい・・。」
ヨンスの病室は、チャン・ヒョヌク秘書が決めてくれた特別室であり、応接室と寝室がべつになり、トイレとシャワールームも完備されていた。
「明日、また来るから・・・。」
「無理しないでね・・・。」
それでも、翌日もまた翌日も、ミンチョルはヨンスに会いにきた。
遅くなっても、院長に頼んで病室に入れるようにしてもらった。
検査結果は、入院してからの3日目にでた。
ミンチョルに直接電話あり、ヨンスとは別に説明があった。
急いで病院へ行き、アーサー医師とノム医師同席で説明を受けた。
「お産は、できるようですよ。
抗がん剤の最終投与から、2年がすぎていますし、それに、なによりも放射能治療をしなかったことが幸いしました。
放射線を使っての治療では、まず、卵巣機能が低下して、妊娠どころか、排卵さえ難しいのに、それが免れたのですから、
たぶん、大丈夫でしょう。
羊水検査もしました。穿刺検査を施しましたが、胎児に異常は見られませんでした。
穿刺検査は、それは痛い検査ですが、奥様は胎児に悪いからといって、麻酔も使われずに検査されたのですよ。
ほんとうに、我慢強い奥様ですね・・・。
それを見たときに、つらいお産にも耐えられる方かな、と思いましたよ。
後は、母体にどれだけ影響があるかでしょう。
今の所は、病的な貧血はありませんが、今後、食事療法で妊娠期間を過ごせるようにするためにも、できましたら、
このまま、お産まで入院生活を勧めます。
これから、つわりが始まりますし、安定期に入ってからも、たぶん疲れることが多いでしょう。
病院におられるほうが、なにかと不安は少ないでしょう。
ぜひ、そうしてください。
奥様は、一日も早く、ご主人の下へお帰りになりたいようですが、どうか、ご主人のほうからこれについてご説明ください。
お元気なお子さまを生んでいただくために、奥様を説得してください。」
ミンチョルは、産める、ということだけで、心の中は安堵感でいっぱいになった。
「先生、生んでもいいんですか?妻の体は、大丈夫なのですか?」
「はい、今後、安静にしていただくということを前提にですが・・・。」
「・・・・ありがとうございます・・・ありがとうございます。」
ミンチョルは、明るくわらいながらも、涙をこぼしていた。
「あとは、お産のときですが、たぶん、奥様の体の負担にならないように、開腹手術をしてのお産になるでしょう。
そちらが安心でしょう・・・。」
「よろしくお願いします。このまま、入院させますので、どうか、二人とも助けてください。
お願いします。」
ミンチョルは、深々と頭を下げると、いそいでヨンスの病室へ行った。
「ヨンス・・!」
ヨンスは、ベッドに腰掛けて窓の外の風景を見ていた。
「先生が、子供を生んでいいって・・。」
「ほんとう?」
「ああ、二人の子供だ。きっと、元気な子供だよ。」
ミンチョルは強くヨンスを抱きしめた。
毎日、不安な日々をおくっていたのだ。子供を失うかも、ということよりも、ヨンスが死んでしまうのでは・・・という不安が大きかったのだ。
今、また、ヨンスは奇跡を起こそうとしているのだ。
白血病を克服し、普通の女性のように妊娠し、出産しようとしているのだ。
「そのかわり、今からはずっとここにいるんだよ。
生まれるまで、入院するようにと先生に言われた。
毎日は無理かもしれないが、会いに来るから・・・。」
「・・・・私、帰ることはできないの?」
「僕も、入院してもらっていた方が安心だよ。家でなにかあっては大変だし・・・。」
「でも・・・・あなたは、不自由じゃない? お父様だって・・。」
「大丈夫だよ。どうにかなるさ。
それに、秘書を雇ったんだよ。有能な秘書だよ。今度紹介するよ。
仕事の達人ではあるけど、家事は無理だろうな・・・・?
それでも、僕の身の回りのことはやってくれるし、今度からは時々、ここにも来てもらうよ。
なにか、買うものがあれば、彼女に頼めばいいし・・・。」
「私、帰りたいわ・・・ね、あなた、先生に頼んで・・・お願い・・。」
ヨンスは、かたときもミンチョルのそばを離れたくなかった。
「わがままをいわないで。
これも、生まれてくる子供のためだ。会いに来るから・・・。」
ヨンスは泣いていた。
3日間、検査入院しただけでも、ミンチョルのことが恋しくてたまらなかったのだ。
これから出産までの8ヶ月間、ひとりでここにいるのだと思うだけで、ヨンスはつらかった。
「・・・・ヨンス・・・。」
「・・・・ごめんなさい・・・このまま、入院します。
時々、会いに来てね・・・。」
お産するというだけでも不安が大きいのに、愛する夫と離れてくらすことは、もっと不安であった。
「今日は、君が寝るまでいてあげるから、安心して寝ていいよ。」
ミンチョルは、ヨンスの横に一緒に寝ると、ヨンスの髪をやさしく撫でた。
「まるで、夢のようだ・・・。
君に良く似た子供に会えるんだと思うと・・・。
これからは、君と子供を守るため、一生懸命に働くよ。
君は安心して、おなかの子どものことだけを考えればいい。」
これから続く長い入院生活・・・。
しかし、今までとは違い、希望のある入院なのだ。
新しい家族を待ちわびて、大きな夢を抱ける喜びにふたりは、今までの苦しかった日々が無駄ではなかったと感じた。
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NHKの「美しき日々」が最終回を迎えました。
最後のヨンスの美しさは、見事でしたね・・・・。
あれだけの美しさを表現できたドラマに、私も見習いたいです。
このドラマは題目ドラマの恋人たちに痛い記憶も多かったが?銀時代美しい記憶たちで残るみたいです.
私たちにも美しいドラマで長い間懐かしがるようになる「美しき日?」です.
maria chris様,素敵な「美しき日々」後期ありがとうございます.
楽しい週間を送ってください.^^