創作文・「美しき日々・・~それから・・~Beautiful days」⑧
조회 수 16499 2005.02.13 03:46:06 創作文・「美しき日々・・~それから・・~Beautiful days」⑧
ヨンスの熱は、翌日になってもいっこうに下がらなかった。
ミンチョルは、すぐにかかりつけの医師に電話をかけて、今日の受診を予約した。
「ヨンス、病院へ行こう。
会社の車を回してくれるように頼んだから、それで行こう。」
「・・・あなたは、お仕事に行ってください。
私は、タクシーで行きますから・・・。」
そういっても、ミンチョルは病院へ着いてきた。
白血球が増加しすぎているため、それを抑えるための薬を点滴することになった。
点滴の間、ミンチョルは電話で呼ばれ、会社に行くことになった。
医師に後を頼み、病院を後にした。
医師は、念のため、しばらく入院をした方がいいだろうと勧めたが、ヨンスはそれを拒んで、タクシーで帰宅した。
自宅に帰りついた頃、ミンチョルから電話があった。
「入院した方がいいと、医者はいっていたのに、帰っても大丈夫?」
「もう、大丈夫ですから・・・
点滴したら、すぐに熱も下がりました。」
「そうか・・・。
それでも、休んでいないとダメだよ。
夕飯は、僕がなにか買って帰るから、すぐ、寝ているんだよ。わかったね。」
「ええ、わかりました・・・。」
医師の診断の結果は、疲労からくる発熱だろうということだった。
仕事を一日おきに始めたことを話すと、ストレスをためるのも良くないから、
それくらいの仕事ならいいだろうという判断だった。
それでも、無理は禁物だということだった。
点滴をしたことで、少し元気が出てきた。
窓から見える景色は、9月の残暑と、秋を迎えようとしている木々たちの凛とした姿が、
青空とともになんとも言えず美しかった。
夏のまぶしい青空にも、うっすらとかかる雲は初秋を思わせる。
ヨンスは、どうしても絵に描きたかった。
夕焼けの絵は、ヨンスは得意だった。
うっすらとかかる白い雲が、少しずつ赤く染まり、水色の空と金色の空・・・
夕焼け空の下の小高い丘を散歩するひとりの父親・・・父親の腕には、可愛い坊やが抱かれていた。
父親は、ミンチョル・・・その子は、私の赤ちゃん・・・。
女の子がいいかしら・・?
きっと、あの人のことだから、女の赤ちゃんがいたら、可愛がりすぎて甘えん坊な子に育つかも知れないわね・・・。
名前は、何がいいかしら・・・。
私とあの人の赤ちゃん・・・。
無我夢中に絵を描いていた。日が暮れるのにも、ミンチョルが帰ってきたのにも気づかないで・・。
「ヨンス・・・!」
ミンチョルの声にはっとした。
「熱があるのに、どうして無理なことをするんだ!!」
ミンチョルは思わず、キャンパスにあった画用紙を取り上げた。
「返して・・・お願い・・・返して・・。」
「もう、子供の絵を描くのはやめるんだ。
いつまでも、こんな絵を描いているから、子供に対する執着心がつくんだ!!」
「もうしませんから・・・あなたの嫌うことは、もうしませんから・・・お願い・・。」
ミンチョルは、その絵をばりばりと引き裂いた。
「あっ・・・!」
ミンチョルは悔しかった。
どうして、僕の思いを解ってくれないんだ。
ヨンスが死んでしまったら、僕はどうやって生きていけばいいというのか。
ヨンスは、床に散らばった絵をひとつずつ拾い集めた。
ミンチョルは、そのまま部屋を出て行った。
しばらく、廊下に立ち尽くしていると、ヨンスの泣き声がしのびなく聞こえた。
廊下に立ったまま、体が震えるようだった。
また、苦しめてしまった。一番つらいのは、ヨンスなのに・・・。
ヨンスは、何も悪くないのに、純粋に子供を持ちたいと、自分の夢を思い描いているだけなのに。
しばらく廊下を行ったり来たりしていたが、また、部屋に入った。
ヨンスはベッドに入り、背を向けて寝ていた。
「すまない・・・ヨンス・・・。
大きな声を出してしまって・・・。ごめんよ。」
そっと、ヨンスの髪を撫でた。
「・・・私の方こそ、ごめんなさいね・・。
あなたの嫌うことばかりして・・・。」
顔をあわせることもせずに、ミンチョルに背を向けたまま話す。
「・・・あなたは、本当に・・・子どもが嫌いなの・・?」
ミンチョルはつらかった。
ヨンスの涙声が移ってしまい、ミンチョルも涙があふれて言葉につまった。
「・・・ふたりでいようよ。この先、ずっと、ふたりで・・・。」
君を死なせたくないんだ。君の母のように、そして、僕の母のように・・・
僕の側から、大事な人を遠ざけたくないんだ。
ミンチョルは、ゴミ箱の中に捨てられている画用紙の絵を、ジグゾーパズルのようにつなぎ合わせて見た。
なんて上手な絵なんだろう。
とても優しい気持ちにしてくれる絵だ。
ファイルに入っているほかの絵も見てみた。
ヨンスらしい・・・。
どの絵も、父親が抱いている赤ちゃんの絵だった。
母親の絵はひとつもない。
まるでヨンスの願いのようだった。
ミンチョルが、少しでも子どもが好きになってくれるように、父親は子どもに笑いかけている絵である。
その父親は、ミンチョル・・・。
『・・私の夢は、私にできなかった暖かい家庭を持つことです。
子どもがもてたら、その子には明るい家庭を与えてあげること・・・。
平凡な夢でしょう・・。』
絵の上に、涙がひとつふたつとこぼれた。
破ってしまったさっきの絵を、画用紙の上に、ジグソーパズルのように貼り付けた。
それを、ファイルにはさめた。
ヨンスは、時々泣きじゃくりながらも、薬の効果があってか、ぐっすり眠っていた。
・・・いつも、ヨンスに冷たくしてしまう僕は、なんておろかなのだろうか。
ヨンスのほうが、ずっと大人だった。・・・
翌日には、すっかり熱はさがり、家の中の仕事ができるようになった。
次の日には、絵画教室にも仕事に出ることができた。
いつもと変わらない毎日が過ぎていく・・・。
いつものように・・・。
しかし、ヨンスには、ひとつ気にかかることがあった。
月が10月に変わると、その不安は的中した。
妊娠していた・・・!
妊娠反応検査薬を買ってきて、自分で検査した。
どうしよう・・・
ヨンスの脳裏には、ミンチョルの冷たい表情が浮かんだ。
でも、生みたい・・・あの人の子ども・・・。
9話につづきます。
*****************************************
今日も読んで下さってありがとうございます。
私の思い入れいっぱいの創作文です。
どうか、みなさまの夢をこわすことがありませんように・・・・。
H.YさまのHPに「白の情景」7話がUPされています。
とても、きれいなユジンとチュンサンです。
一度、たずねてみてください。
http://www.geocities.jp/maria_c_hy/maria_07/maria_070.htm
ヨンスの熱は、翌日になってもいっこうに下がらなかった。
ミンチョルは、すぐにかかりつけの医師に電話をかけて、今日の受診を予約した。
「ヨンス、病院へ行こう。
会社の車を回してくれるように頼んだから、それで行こう。」
「・・・あなたは、お仕事に行ってください。
私は、タクシーで行きますから・・・。」
そういっても、ミンチョルは病院へ着いてきた。
白血球が増加しすぎているため、それを抑えるための薬を点滴することになった。
点滴の間、ミンチョルは電話で呼ばれ、会社に行くことになった。
医師に後を頼み、病院を後にした。
医師は、念のため、しばらく入院をした方がいいだろうと勧めたが、ヨンスはそれを拒んで、タクシーで帰宅した。
自宅に帰りついた頃、ミンチョルから電話があった。
「入院した方がいいと、医者はいっていたのに、帰っても大丈夫?」
「もう、大丈夫ですから・・・
点滴したら、すぐに熱も下がりました。」
「そうか・・・。
それでも、休んでいないとダメだよ。
夕飯は、僕がなにか買って帰るから、すぐ、寝ているんだよ。わかったね。」
「ええ、わかりました・・・。」
医師の診断の結果は、疲労からくる発熱だろうということだった。
仕事を一日おきに始めたことを話すと、ストレスをためるのも良くないから、
それくらいの仕事ならいいだろうという判断だった。
それでも、無理は禁物だということだった。
点滴をしたことで、少し元気が出てきた。
窓から見える景色は、9月の残暑と、秋を迎えようとしている木々たちの凛とした姿が、
青空とともになんとも言えず美しかった。
夏のまぶしい青空にも、うっすらとかかる雲は初秋を思わせる。
ヨンスは、どうしても絵に描きたかった。
夕焼けの絵は、ヨンスは得意だった。
うっすらとかかる白い雲が、少しずつ赤く染まり、水色の空と金色の空・・・
夕焼け空の下の小高い丘を散歩するひとりの父親・・・父親の腕には、可愛い坊やが抱かれていた。
父親は、ミンチョル・・・その子は、私の赤ちゃん・・・。
女の子がいいかしら・・?
きっと、あの人のことだから、女の赤ちゃんがいたら、可愛がりすぎて甘えん坊な子に育つかも知れないわね・・・。
名前は、何がいいかしら・・・。
私とあの人の赤ちゃん・・・。
無我夢中に絵を描いていた。日が暮れるのにも、ミンチョルが帰ってきたのにも気づかないで・・。
「ヨンス・・・!」
ミンチョルの声にはっとした。
「熱があるのに、どうして無理なことをするんだ!!」
ミンチョルは思わず、キャンパスにあった画用紙を取り上げた。
「返して・・・お願い・・・返して・・。」
「もう、子供の絵を描くのはやめるんだ。
いつまでも、こんな絵を描いているから、子供に対する執着心がつくんだ!!」
「もうしませんから・・・あなたの嫌うことは、もうしませんから・・・お願い・・。」
ミンチョルは、その絵をばりばりと引き裂いた。
「あっ・・・!」
ミンチョルは悔しかった。
どうして、僕の思いを解ってくれないんだ。
ヨンスが死んでしまったら、僕はどうやって生きていけばいいというのか。
ヨンスは、床に散らばった絵をひとつずつ拾い集めた。
ミンチョルは、そのまま部屋を出て行った。
しばらく、廊下に立ち尽くしていると、ヨンスの泣き声がしのびなく聞こえた。
廊下に立ったまま、体が震えるようだった。
また、苦しめてしまった。一番つらいのは、ヨンスなのに・・・。
ヨンスは、何も悪くないのに、純粋に子供を持ちたいと、自分の夢を思い描いているだけなのに。
しばらく廊下を行ったり来たりしていたが、また、部屋に入った。
ヨンスはベッドに入り、背を向けて寝ていた。
「すまない・・・ヨンス・・・。
大きな声を出してしまって・・・。ごめんよ。」
そっと、ヨンスの髪を撫でた。
「・・・私の方こそ、ごめんなさいね・・。
あなたの嫌うことばかりして・・・。」
顔をあわせることもせずに、ミンチョルに背を向けたまま話す。
「・・・あなたは、本当に・・・子どもが嫌いなの・・?」
ミンチョルはつらかった。
ヨンスの涙声が移ってしまい、ミンチョルも涙があふれて言葉につまった。
「・・・ふたりでいようよ。この先、ずっと、ふたりで・・・。」
君を死なせたくないんだ。君の母のように、そして、僕の母のように・・・
僕の側から、大事な人を遠ざけたくないんだ。
ミンチョルは、ゴミ箱の中に捨てられている画用紙の絵を、ジグゾーパズルのようにつなぎ合わせて見た。
なんて上手な絵なんだろう。
とても優しい気持ちにしてくれる絵だ。
ファイルに入っているほかの絵も見てみた。
ヨンスらしい・・・。
どの絵も、父親が抱いている赤ちゃんの絵だった。
母親の絵はひとつもない。
まるでヨンスの願いのようだった。
ミンチョルが、少しでも子どもが好きになってくれるように、父親は子どもに笑いかけている絵である。
その父親は、ミンチョル・・・。
『・・私の夢は、私にできなかった暖かい家庭を持つことです。
子どもがもてたら、その子には明るい家庭を与えてあげること・・・。
平凡な夢でしょう・・。』
絵の上に、涙がひとつふたつとこぼれた。
破ってしまったさっきの絵を、画用紙の上に、ジグソーパズルのように貼り付けた。
それを、ファイルにはさめた。
ヨンスは、時々泣きじゃくりながらも、薬の効果があってか、ぐっすり眠っていた。
・・・いつも、ヨンスに冷たくしてしまう僕は、なんておろかなのだろうか。
ヨンスのほうが、ずっと大人だった。・・・
翌日には、すっかり熱はさがり、家の中の仕事ができるようになった。
次の日には、絵画教室にも仕事に出ることができた。
いつもと変わらない毎日が過ぎていく・・・。
いつものように・・・。
しかし、ヨンスには、ひとつ気にかかることがあった。
月が10月に変わると、その不安は的中した。
妊娠していた・・・!
妊娠反応検査薬を買ってきて、自分で検査した。
どうしよう・・・
ヨンスの脳裏には、ミンチョルの冷たい表情が浮かんだ。
でも、生みたい・・・あの人の子ども・・・。
9話につづきます。
*****************************************
今日も読んで下さってありがとうございます。
私の思い入れいっぱいの創作文です。
どうか、みなさまの夢をこわすことがありませんように・・・・。
H.YさまのHPに「白の情景」7話がUPされています。
とても、きれいなユジンとチュンサンです。
一度、たずねてみてください。
http://www.geocities.jp/maria_c_hy/maria_07/maria_070.htm
댓글 '4'
maria chris
TiYanさま、早速のレスをありがとうございます。
あなたさまの感想を読んでいて、私の方こそうれしくて感謝いたします。
私は、冬のソナタの続編「白の情景」その後の「ジュンサンの書簡」
そして、「美しき日々 ~それから・・・~」と書いています。
「美しき日々」だけは、こちらのサイトでしか読むことができませんので、
多くの皆様が尋ねてきてくださいます。
お訪ねの1~5話を検索する方法を書きます。
まず、私の名前の上でマウスをあわせて、右クリックしましたら、
検索表がでます。
その中の虫眼鏡をクリックしましたら、maria chrisのページがでます。
その中から探してください。
家のマークは、私のHPです。
そこには、冬のソナタ続編を連載しております。
上のH.YさまのHPでは、イラスト入りのユジンとチュンサンが読めます。
たずねてみてください。
これまらも、どうぞ、よろしくお願いします。
maria chris
あなたさまの感想を読んでいて、私の方こそうれしくて感謝いたします。
私は、冬のソナタの続編「白の情景」その後の「ジュンサンの書簡」
そして、「美しき日々 ~それから・・・~」と書いています。
「美しき日々」だけは、こちらのサイトでしか読むことができませんので、
多くの皆様が尋ねてきてくださいます。
お訪ねの1~5話を検索する方法を書きます。
まず、私の名前の上でマウスをあわせて、右クリックしましたら、
検索表がでます。
その中の虫眼鏡をクリックしましたら、maria chrisのページがでます。
その中から探してください。
家のマークは、私のHPです。
そこには、冬のソナタ続編を連載しております。
上のH.YさまのHPでは、イラスト入りのユジンとチュンサンが読めます。
たずねてみてください。
これまらも、どうぞ、よろしくお願いします。
maria chris
此からも 楽しみに 読ませて頂きます。