創作文・「美しき日々・・~それから・・~Beautiful days」23
조회 수 10435 2005.10.17 01:52:46 創作文・「美しき日々・・~それから・・~Beautiful days」23
イ・ミンチョルは、新しく増えた家族のために、高級住宅街に新居を構えていた。
高い塀の外堀は、まるで以前に住んでいたミンチョルの豪邸に似ていたが、門が二重になり、より一層セキュリティーには力を入れていた。
ゆるやかな石段を上り詰めると、ヨーロピアン風に作られた庭園が広がり、緑の芝生が一面に広がり、テニスもできるだろうし、ゴルフもできるくらいに美しく手入れされている芝生が見事である。
その横には、コロニア風の噴水のある池があり、周りには今が満開のシーズンである、色とりどりのバラが植えられている。中庭からさらに石段を登ると、格調ある黒檀の玄関ドアが両サイドに開く。
玄関前のアプローチも、ミンチョルの趣味らしく、白を基調にベンチとテーブルが置かれていて、来客をそこでくつろがせ、すぐ下に見える庭園のすばらしさを堪能できるように配慮されていた。
玄関の大理石はすべることのないように、わざと磨きをかけずに原石のまま使い、段差をなくした廊下は
家具の移動が簡単にできるように幅を広く取っていた。
一階には、ゲスト用のリビングを三箇所設け、家族用のリビングも広く、くつろぎやすく余裕を持って作られていた。
すでに、家事を手伝ってくれる女性をひとり住み込みで雇い、パーティなどの時には、業者の料理人が入れるように、厨房も広く作られている。
なんといっても、ミヒャンが這い出しても危険がないように、いろんな場所に安全策を設置しており、リビングの中でもひときわ雄大に見える暖炉にも、近づけないように、いくつもの柵が作られていた。
玄関ホールの吹き抜けにあるヴェネチアンガラスのシャンデリアは、ケイン・クラウディオ会長からの新築祝いであり、緩やかなカーブの黒檀の階段とよく合い、荘厳なイメージである。
まるで、ソウルではない、ヨーロッパを思わせるような豪華な邸宅だった。
これまでにも、何度か建築雑誌社からの取材の依頼をうけたが、おのずとヨンスやミヒャンを世間に映し出すようなことになるようで、取材は一切断り続けた。
そこの新居では、今日はミヒャンの誕生百日記念のお祝いを兼ねた新築パーティーがある。
会社関係はもとより、これまでにお世話になった多くの人たちが訪れ、ベビーベッドに眠るミヒャンをかわるがわる抱いたり、孫が可愛くてたまらないイ・ソンチュンにお祝いの杯を酌み交わしたり、たくさんの人の出入りが激しかった。
ヨンスは、お手伝いをしてくれているキム・ソニと、秘書のテジャと、料理やお酒の采配に追われていた。
「ヨンスお姉さん、ミヒャナが泣き止まないよ。
代わって・・・。」
セナがどんなにあやしても、ミヒャンは泣き止まなくなったようだ。
「お部屋で寝かせてくるわ。」
エプロンをはずしながら、ミヒャンを抱くと、母のぬくもりに安心したように、泣き止んでヨンスの顔をじっと見つめていた。
二階のミヒャンの部屋は、ヨンスとミンチョルの寝室と内側のドアでつながっているが、
プライベートが保てるように作られている。
さっきから、気分がすぐれないとナレがミヒャンの部屋のソファに横になっていた。
「ナレ・・・具合はどう?
飲みすぎたの?」
「ううん・・・もう、大丈夫よ。
ミヒャン、お昼寝なの?」
「人が多くて、落ち着いて眠れないんでしょうね・・・。」
ミヒャンは、なかなか眠れないときだけは、ヨンスの乳房を吸って眠るのだった。
それで落ち着くのか、10分もしないうちにスヤスヤと眠りだすのだ。
ベッドに腰掛けながら、母乳を上げていると、ナレがミヒャンの頬を突付いた。
「おいしそうだね・・。」
「実は、あまり母乳は出ていないのよ。
それでも、満足そうな顔をしてくれるの。
この子ったら、気を使ってくれているのかしら・・・・?」
ふたりは、顔をつけて笑った。
「ナレの結婚式まで、あと一週間ね。
楽しみだわ・・・。
いろいろ、結婚の準備を手伝うことにしていたのに、こんな状態でごめんなさいね。」
「大丈夫よ。たいしたことないから・・・。
ただ、彼のマンションに引っ越すだけのことよ。」
「ナレには、ずっとお世話になってばかりなのに、こんなとき何もしてあげられないなんて・・・」
「いいってば。気にしないでよ・・・。
それより、話しておくことがあるの。」
ヨンスは、すっかり眠っているミヒャンをベッドに寝かしつけた。
「実は・・・赤ちゃんできたの・・。」
「!?」
ミヒャンに薄い掛け布団をかけながら、はっと振り向いた。
「ほんとに!!」
「うん・・・ミヒャンとは、一才違いになるけど・・・。」
「まぁ!!それは、おめでとう。」
ヨンスは、ナレを抱きしめた。
「今、どのくらい? つわりがきついの?」
「うん、昨日病院いったの。
まだ、キョスクにも話していないの。
彼、驚くだろうね・・・。
ミヒャンをあやしながら、練習しなきゃ・・・・って、いつも言ってるから。」
「私もうれしいわ・・・一緒に子育てできるわね。」
「仕事は続けようと思うの。
出産休暇を少しもらったら、保育園に預けて、働こうかな・・・・と思ってる。」
「そう・・・・。
でも、あまり、無理しないでね。
新婚旅行は、ハワイに行くんでしょう?
長い時間の飛行機は大丈夫かしら・・・。」
「うん、お医者様にもそのこと話したら、大丈夫だろうって。
ただ、すごく眠いの。
ヨンスも、そうだった?」
「そうね・・・遠い昔のような気がするわね。
つい、この間のことなのに・・・。
あの頃は、不安なことばかりで、生んじゃいけないと思っていたから、
いつも、泣いてばかりいたわね・・・。
この子に、悪いことばかりしていたわ・・・。
私もミンチョルさんも、お互いのことばかりを考えていて、
それでも、ミヒャンは健気に生きていたのね。
小さな体だけど、とても元気に生き続けていたのね・・・。
ナレ、お腹の赤ちゃんを大事にしてね。」
「うん、わかってる。
男の子だったら、ミヒャンと結婚させちゃおう!」
「まぁ・・・でも、ミヒャンが年上よ。」
「そっちがいいかもよ。」
二人は、ミヒャンが起きないように低い声で笑った。
その日のパーティは、深夜まで続いた。
ミヒャンも落ち着きがなく、何度も夜鳴きをしては、ヨンスのベッドで抱かれながら眠った。
来客がすべて帰り、ミンチョルが隣のベッドに眠る頃にも、ミヒャンは泣いていて、ヨンスはあやしていた。
「眠れないのか?」
「ええ・・・興奮したんでしょうね・・・。
ごめんなさいね、うるさいでしょう。」
「いや・・・代わろうか?」
「いいえ、あなたは、明日もお仕事ですから、早く休んでください。」
ヨンスは、ミヒャンをおくるみに抱いて、となりのミヒャンの部屋で子守唄を唄いながらあやした。
一度、水分補給をすると、すこしウトウトと眠りだしたため、そっとベッドに寝かしつけた。
スタンドの小さい灯りを付けて、そっと隣の部屋へ行く。
いつも眠る時は、ドアを少し開けて、ミヒャンのぐずる声が聞こえるようにする。
ガウンをはずすと、そっと自分のベッドに入る。
隣のベッドにねむっていたはずのミンチョルが、ヨンスのベッドに入ってきた。
「寝た?」
「ええ、やっと・・・。」
少し酔っているミンチョルの体は熱かった。
その時、また、ミヒャンの泣き声がする。
「ごめんなさい・・・。」
ヨンスは、起きると、さっき脱いだガウンを羽織ると、ミヒャンの元に急いだ。
オムツを取替え、抱いてあげると、眠そうに泣いている。
か細い声で、母の胸元を捜す。
ソファにかけて、母乳を与えると、ヨンスはなにか違う感じがした。
熱がある・・・!
いそいで、ベビー体温計で体温を測ると、39度近くまで上がった。
「あなた・・・!」
ミンチョルも、その声ですぐに起き出した。
「熱があるの。
どうしたのかしら・・・。」
「医者を呼ばないと・・・とにかく、冷やさないと。
ソニさんをおこして・・・。」
「こんな時間よ。」
「車をださないといけないが・・・キョスク・・・いや、僕が運転するよ。」
ミンチョルは急いで着替えて、電話をした。
その騒ぎを感じて、ミンジが起きた。
「どうしたの?」
「ミヒャンが高い熱を出したんだよ。今から、病院へ行こうと思う。」
「風邪かしら・・・どうしたのかしら・・・?」
ヨンスが着替えてくると、ソニも起きてきた。
「社長、私が運転します。社長は酔っておいでですから、私が・・。」
「そうか、頼むよ。」
ヨンスの心の中には、それは大きな不安があった。
私に似て、体の弱い子ではないのだろうか。
生まれた時もあんなに小さくて、生きていけるのかと心配になるくらいだった。
それでも、ふつうの子と同じように順調に育ち、検診の時も、他の子よりは体重も身長も小さいが、健康優良児だった。
血液検査にも異常はなく、良く笑い、良く眠り、良くミルクも飲む子だった。
この子も、私と同じように、なにかの病気なのではないかしら・・・。
か細い声でつらそうな泣き声を出すミヒャンを抱きながら、いっそう不安はたかまるばかりだった。
病院に着くと、先に電話をしていたからか、医者は表で待っていてくれた。
解熱剤を投与してもらい、しばらく病院で様子を見た。
外が白く夜が明けだした頃には、薬の効果ですっかり落ち着いて眠っていた。
「たぶん、突発性の発熱でしょう。
この後、発疹が出るかもしれませんが、どの子もかかる生後最初の病気ですよ。
特別にお薬もいらないでしょう。
熱も自然と下がるでしょう・・・。」
その医者の言葉に、ヨンスもミンチョルも全身の力が抜けるように、ほっとした。
ヨンスが心に思っていたことと同じようなことを、ミンチョルも考えていたのだろう。
ミンチョルにとっては、守らなければならない大切な家族がふたりいるのだ。
ヨンスとミヒャン・・・。
どちらもミンチョルにとっては、かけがえのない大切な宝なのだ。
あれほど苦労して、ヨンスが生んだ大切ないのちなのだ。
すっかり夜が明けて、帰路に着いた時には、ヨンスとミンチョルは疲れてしまい、そのまましばらく眠った。
それでも、ミンチョルは、やはり仕事に行かなければならない使命感がり、起きて出勤した。
ヨンスとミヒャンの、安らかな寝顔を見て、今日も一日頑張れる、そんな気がするのだった。
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イ・ミンチョルは、新しく増えた家族のために、高級住宅街に新居を構えていた。
高い塀の外堀は、まるで以前に住んでいたミンチョルの豪邸に似ていたが、門が二重になり、より一層セキュリティーには力を入れていた。
ゆるやかな石段を上り詰めると、ヨーロピアン風に作られた庭園が広がり、緑の芝生が一面に広がり、テニスもできるだろうし、ゴルフもできるくらいに美しく手入れされている芝生が見事である。
その横には、コロニア風の噴水のある池があり、周りには今が満開のシーズンである、色とりどりのバラが植えられている。中庭からさらに石段を登ると、格調ある黒檀の玄関ドアが両サイドに開く。
玄関前のアプローチも、ミンチョルの趣味らしく、白を基調にベンチとテーブルが置かれていて、来客をそこでくつろがせ、すぐ下に見える庭園のすばらしさを堪能できるように配慮されていた。
玄関の大理石はすべることのないように、わざと磨きをかけずに原石のまま使い、段差をなくした廊下は
家具の移動が簡単にできるように幅を広く取っていた。
一階には、ゲスト用のリビングを三箇所設け、家族用のリビングも広く、くつろぎやすく余裕を持って作られていた。
すでに、家事を手伝ってくれる女性をひとり住み込みで雇い、パーティなどの時には、業者の料理人が入れるように、厨房も広く作られている。
なんといっても、ミヒャンが這い出しても危険がないように、いろんな場所に安全策を設置しており、リビングの中でもひときわ雄大に見える暖炉にも、近づけないように、いくつもの柵が作られていた。
玄関ホールの吹き抜けにあるヴェネチアンガラスのシャンデリアは、ケイン・クラウディオ会長からの新築祝いであり、緩やかなカーブの黒檀の階段とよく合い、荘厳なイメージである。
まるで、ソウルではない、ヨーロッパを思わせるような豪華な邸宅だった。
これまでにも、何度か建築雑誌社からの取材の依頼をうけたが、おのずとヨンスやミヒャンを世間に映し出すようなことになるようで、取材は一切断り続けた。
そこの新居では、今日はミヒャンの誕生百日記念のお祝いを兼ねた新築パーティーがある。
会社関係はもとより、これまでにお世話になった多くの人たちが訪れ、ベビーベッドに眠るミヒャンをかわるがわる抱いたり、孫が可愛くてたまらないイ・ソンチュンにお祝いの杯を酌み交わしたり、たくさんの人の出入りが激しかった。
ヨンスは、お手伝いをしてくれているキム・ソニと、秘書のテジャと、料理やお酒の采配に追われていた。
「ヨンスお姉さん、ミヒャナが泣き止まないよ。
代わって・・・。」
セナがどんなにあやしても、ミヒャンは泣き止まなくなったようだ。
「お部屋で寝かせてくるわ。」
エプロンをはずしながら、ミヒャンを抱くと、母のぬくもりに安心したように、泣き止んでヨンスの顔をじっと見つめていた。
二階のミヒャンの部屋は、ヨンスとミンチョルの寝室と内側のドアでつながっているが、
プライベートが保てるように作られている。
さっきから、気分がすぐれないとナレがミヒャンの部屋のソファに横になっていた。
「ナレ・・・具合はどう?
飲みすぎたの?」
「ううん・・・もう、大丈夫よ。
ミヒャン、お昼寝なの?」
「人が多くて、落ち着いて眠れないんでしょうね・・・。」
ミヒャンは、なかなか眠れないときだけは、ヨンスの乳房を吸って眠るのだった。
それで落ち着くのか、10分もしないうちにスヤスヤと眠りだすのだ。
ベッドに腰掛けながら、母乳を上げていると、ナレがミヒャンの頬を突付いた。
「おいしそうだね・・。」
「実は、あまり母乳は出ていないのよ。
それでも、満足そうな顔をしてくれるの。
この子ったら、気を使ってくれているのかしら・・・・?」
ふたりは、顔をつけて笑った。
「ナレの結婚式まで、あと一週間ね。
楽しみだわ・・・。
いろいろ、結婚の準備を手伝うことにしていたのに、こんな状態でごめんなさいね。」
「大丈夫よ。たいしたことないから・・・。
ただ、彼のマンションに引っ越すだけのことよ。」
「ナレには、ずっとお世話になってばかりなのに、こんなとき何もしてあげられないなんて・・・」
「いいってば。気にしないでよ・・・。
それより、話しておくことがあるの。」
ヨンスは、すっかり眠っているミヒャンをベッドに寝かしつけた。
「実は・・・赤ちゃんできたの・・。」
「!?」
ミヒャンに薄い掛け布団をかけながら、はっと振り向いた。
「ほんとに!!」
「うん・・・ミヒャンとは、一才違いになるけど・・・。」
「まぁ!!それは、おめでとう。」
ヨンスは、ナレを抱きしめた。
「今、どのくらい? つわりがきついの?」
「うん、昨日病院いったの。
まだ、キョスクにも話していないの。
彼、驚くだろうね・・・。
ミヒャンをあやしながら、練習しなきゃ・・・・って、いつも言ってるから。」
「私もうれしいわ・・・一緒に子育てできるわね。」
「仕事は続けようと思うの。
出産休暇を少しもらったら、保育園に預けて、働こうかな・・・・と思ってる。」
「そう・・・・。
でも、あまり、無理しないでね。
新婚旅行は、ハワイに行くんでしょう?
長い時間の飛行機は大丈夫かしら・・・。」
「うん、お医者様にもそのこと話したら、大丈夫だろうって。
ただ、すごく眠いの。
ヨンスも、そうだった?」
「そうね・・・遠い昔のような気がするわね。
つい、この間のことなのに・・・。
あの頃は、不安なことばかりで、生んじゃいけないと思っていたから、
いつも、泣いてばかりいたわね・・・。
この子に、悪いことばかりしていたわ・・・。
私もミンチョルさんも、お互いのことばかりを考えていて、
それでも、ミヒャンは健気に生きていたのね。
小さな体だけど、とても元気に生き続けていたのね・・・。
ナレ、お腹の赤ちゃんを大事にしてね。」
「うん、わかってる。
男の子だったら、ミヒャンと結婚させちゃおう!」
「まぁ・・・でも、ミヒャンが年上よ。」
「そっちがいいかもよ。」
二人は、ミヒャンが起きないように低い声で笑った。
その日のパーティは、深夜まで続いた。
ミヒャンも落ち着きがなく、何度も夜鳴きをしては、ヨンスのベッドで抱かれながら眠った。
来客がすべて帰り、ミンチョルが隣のベッドに眠る頃にも、ミヒャンは泣いていて、ヨンスはあやしていた。
「眠れないのか?」
「ええ・・・興奮したんでしょうね・・・。
ごめんなさいね、うるさいでしょう。」
「いや・・・代わろうか?」
「いいえ、あなたは、明日もお仕事ですから、早く休んでください。」
ヨンスは、ミヒャンをおくるみに抱いて、となりのミヒャンの部屋で子守唄を唄いながらあやした。
一度、水分補給をすると、すこしウトウトと眠りだしたため、そっとベッドに寝かしつけた。
スタンドの小さい灯りを付けて、そっと隣の部屋へ行く。
いつも眠る時は、ドアを少し開けて、ミヒャンのぐずる声が聞こえるようにする。
ガウンをはずすと、そっと自分のベッドに入る。
隣のベッドにねむっていたはずのミンチョルが、ヨンスのベッドに入ってきた。
「寝た?」
「ええ、やっと・・・。」
少し酔っているミンチョルの体は熱かった。
その時、また、ミヒャンの泣き声がする。
「ごめんなさい・・・。」
ヨンスは、起きると、さっき脱いだガウンを羽織ると、ミヒャンの元に急いだ。
オムツを取替え、抱いてあげると、眠そうに泣いている。
か細い声で、母の胸元を捜す。
ソファにかけて、母乳を与えると、ヨンスはなにか違う感じがした。
熱がある・・・!
いそいで、ベビー体温計で体温を測ると、39度近くまで上がった。
「あなた・・・!」
ミンチョルも、その声ですぐに起き出した。
「熱があるの。
どうしたのかしら・・・。」
「医者を呼ばないと・・・とにかく、冷やさないと。
ソニさんをおこして・・・。」
「こんな時間よ。」
「車をださないといけないが・・・キョスク・・・いや、僕が運転するよ。」
ミンチョルは急いで着替えて、電話をした。
その騒ぎを感じて、ミンジが起きた。
「どうしたの?」
「ミヒャンが高い熱を出したんだよ。今から、病院へ行こうと思う。」
「風邪かしら・・・どうしたのかしら・・・?」
ヨンスが着替えてくると、ソニも起きてきた。
「社長、私が運転します。社長は酔っておいでですから、私が・・。」
「そうか、頼むよ。」
ヨンスの心の中には、それは大きな不安があった。
私に似て、体の弱い子ではないのだろうか。
生まれた時もあんなに小さくて、生きていけるのかと心配になるくらいだった。
それでも、ふつうの子と同じように順調に育ち、検診の時も、他の子よりは体重も身長も小さいが、健康優良児だった。
血液検査にも異常はなく、良く笑い、良く眠り、良くミルクも飲む子だった。
この子も、私と同じように、なにかの病気なのではないかしら・・・。
か細い声でつらそうな泣き声を出すミヒャンを抱きながら、いっそう不安はたかまるばかりだった。
病院に着くと、先に電話をしていたからか、医者は表で待っていてくれた。
解熱剤を投与してもらい、しばらく病院で様子を見た。
外が白く夜が明けだした頃には、薬の効果ですっかり落ち着いて眠っていた。
「たぶん、突発性の発熱でしょう。
この後、発疹が出るかもしれませんが、どの子もかかる生後最初の病気ですよ。
特別にお薬もいらないでしょう。
熱も自然と下がるでしょう・・・。」
その医者の言葉に、ヨンスもミンチョルも全身の力が抜けるように、ほっとした。
ヨンスが心に思っていたことと同じようなことを、ミンチョルも考えていたのだろう。
ミンチョルにとっては、守らなければならない大切な家族がふたりいるのだ。
ヨンスとミヒャン・・・。
どちらもミンチョルにとっては、かけがえのない大切な宝なのだ。
あれほど苦労して、ヨンスが生んだ大切ないのちなのだ。
すっかり夜が明けて、帰路に着いた時には、ヨンスとミンチョルは疲れてしまい、そのまましばらく眠った。
それでも、ミンチョルは、やはり仕事に行かなければならない使命感がり、起きて出勤した。
ヨンスとミヒャンの、安らかな寝顔を見て、今日も一日頑張れる、そんな気がするのだった。
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댓글 '5'
TiYan
maria chris様 有り難うございます。
とても穏やかな気持ちで 読ませて頂きました。情景が目に浮かびますよ。
テレビドラマの時も 何時も不安で ヨンスが捨てられて涙をながすのでは・・・
冷たくされ悲しい思いをするのでは 等々・・・。
maeia様の「美しき日々~それから」も紆余曲折有りましたが終始ミンチヨルの大きな愛に包まれて望んでいた 家族も得ることが出来て私は、十分満足でした。
ソウルの空の下 ミンチヨルとヨンスが子育てに紛争しているような錯覚に陥っている
私です。
どうぞ そのまま ミンチョルとヨンスの幸せな暮らしがミヒャンを囲んで続きますようにお祈りしています。
本当に 「美しき日々」は、名作ですね・・・。私は 一番好きです。
何度も見ては、 涙をながしたことでしょう。
最終回 楽しみにしています。では・・・
とても穏やかな気持ちで 読ませて頂きました。情景が目に浮かびますよ。
テレビドラマの時も 何時も不安で ヨンスが捨てられて涙をながすのでは・・・
冷たくされ悲しい思いをするのでは 等々・・・。
maeia様の「美しき日々~それから」も紆余曲折有りましたが終始ミンチヨルの大きな愛に包まれて望んでいた 家族も得ることが出来て私は、十分満足でした。
ソウルの空の下 ミンチヨルとヨンスが子育てに紛争しているような錯覚に陥っている
私です。
どうぞ そのまま ミンチョルとヨンスの幸せな暮らしがミヒャンを囲んで続きますようにお祈りしています。
本当に 「美しき日々」は、名作ですね・・・。私は 一番好きです。
何度も見ては、 涙をながしたことでしょう。
最終回 楽しみにしています。では・・・
楽しみにお待ち致しておりました♪
冒頭の新居の描写、想像力を駆使しながら拝読しました。
とても素敵なおうちですね。
ミヒャンの誕生百日記念の所で、ジウ姫の写真集が思い浮かびました。
また見なくちゃ!と思ったら、ちゃんとUPして下さっていて・・・
ありがとうございます♪
そして・・・ナレが、妊娠!!
きっと、あのままの明るくて頼れるオンマになるんでしょうね。
ミヒャンの熱が心配になりましたが、親子三人の暮らしぶりが拝見出来て
とても嬉しかったです^^
次回が、最終回になるのでしょうか・・・
楽しみなような寂しいような・・・複雑な気持ちです。。
ご執筆大変だと思いますが、くれぐれもお身体をご自愛下さいませ。