(bhlee hk club 펌)


        創作文・「美しき日々・・~それから・・~Beautiful days」20

ほんの2週間の自宅療養だった。
明日入院するという日の夜、ミンチョルは、ヨンスを抱きしめながら泣いていた。
「僕がついているから・・・・きっと、大丈夫だから・・・。
 死なないで・・・お願いだから・・・
 ヨンス・・・お願いだから・・・僕を一人にしないで・・・!
 ヨンス・・・! 」
何も答えられなかった。
子供を生みたい、と決心したあの日から、ひょっとして別れるときが近づいている気配を感じるヨンスにとって、ミンチョルの苦しみは解っていたのだ。
しかし、何も答えられずに、泣くことしかできなかった・・・。
これが、最後の夜になるのだろうか・・・。
苦しくて、胸の奥が痛みで張り裂けそうだった。
幸せにしてあげたかったのに・・・・
彼の過去の不幸を恨まずに暮らせるように、ずっと幸せな日々であってほしかったのに・・・。
ヨンスの頭の中を、ミンチョルとの出会いの頃が走馬灯のように思い出されていた。

それは、同時にミンチョルの思いも同じだった。
愛し始めた頃、ヨンスの愛情を試してばかりいた。
弟のソンジェに嫉妬しながらも、ヨンスを苦しめていた。
人の裏切りを知らないヨンスは、病むほどに悩み苦しみ、大きな病気を患ったのだ。
なぜ、あのときに、もっとヨンスに優しくしてあげなかったのか・・・
ずっと苦労を重ねてきたヨンスなのに、僕はなぜ、あれほどに冷たい仕打ちができたのだろうか・・。
ソンジェに対する嫉妬心だけなのに、ヨンスを苦しめてきた・・・。
僕はなんて、愚かなのか・・・・。
病気で苦しむのは、僕の方ではないか・・・。
代わってあげたい・・・。
ヨンスの苦しみを・・・。

眠れない夜明けを迎えた。
ヨンスは、今日再び入院することになる。
もう、この家には帰ることがない。
来月には、新しい家に引っ越すのだ。
「ミンジ、留学先にもどるのが、遅れてしまうけど、お兄さんのことをお願いしていいかしら?」
「うん・・・わかってるわ・・・でも、赤ちゃん産んだら、すぐに帰れるわよね?」
「ええ・・・帰るわよ。安心して・・・」
ミンチョルの運転する車の後部座席に乗り込むときに、心配そうに見送るミンジにやさしく笑いかけた。
水原(スオン)までの道のり、ヨンスは窓の外の風景を眺めていた。
時々、動くおなかの子どもを撫でながら、目に映る景色を記憶にとどめていた。
ミンチョルもまた、バックミラーで、そんなヨンスの表情を見つめていた。
「子どもが生まれたら、どこかに旅行しよう・・・。
 済州島にしよう・・・。
 海がとてもきれいだよ・・・。」
「ええ・・・行きましょう。」
「魚もおいしいし、海鮮チゲもうまいよ。」
「・・・ええ・・」
「今年の夏は、きっと、楽しい海水浴ができそうだ。
 まだ、赤ん坊には、海水浴は無理かな・・?」
笑って話すミンチョルの表情は、少しこわばっていた。
朝食が、よく食べられなかったヨンスの顔色は、少し青白かった。
「ヨンス? 気分悪い?」
「ううん・・・大丈夫よ・・。」
「どこかで、休憩しようか?」
「この道は、いつも、あなたが私に会いに来てくださったときに通った道でしょう?
 いつも、どんな思いで運転していました?」
わざわざ、聞く必要もないほど、ヨンスにはわかっていたことだ。
彼の思いは、ヨンスに会いたい、という思いだけだったと・・・。
なぜなら、その思いはヨンスも同じことだったからだ・・・。
「君に会いに行くときは、いつも胸のうちがわくわくしていて、少しでも長く君と居たいから、
 つい、スピードを出しすぎていた・・。
 しかし、帰るときは、とてもハンドルが重くて、ソウルまではどういう道を通ったかも、
天気が雨だったのか晴れだったのかさえも気づかないくらいだったよ・・・。
今日の僕は・・・・」
ミンチョルの言葉がつまった。・・・このまま、君を連れて、遠くに行きたい・・・。もう、離れたくない。
車は、バイパス沿いの自動販売機の前に停車した。
「少し、休憩しよう。」
ミンチョルの瞳が涙であふれそうになっていることに、ヨンスも気がついていた。
「ジュースを買ってくるよ。」
自動販売機にコインをいれる彼の背中が少し震えているようだった。
これほど、ミンチョルの背中が小さく、不安いっぱいに見えたことはなかった。
そばまで行って、抱きしめてあげたかったが、今のヨンスは、一人で動くこともままならないほどに、衰弱していた。・・・ごめんなさいね・・・。

病院につくと、医者の診察が行われ、手術の日程を決められた。
「あさってには、開腹手術を行います。
 朝から麻酔を施しまして、開腹して胎児を取り出すまでには、20分くらいですが、
 その後、輸血も必要でしょうし、縫合してからも観察室に一日は入ってもらいまして、
 回復の状況をみて、面会ができるでしょう。
 お子様は、多分未熟児で生まれるでしょうから、保育器に入ることになるでしょう。
 それでも、奥様の体力減退のわりには、成長が早いようですし、とてもお元気な様子ですから、
 保育器に入るのも、そう長くはないでしょう。
 お産と同時に、お子様の入院手続きをしなければなりませんので、
すぐにお名前をつけていただけるようにお願いします。」
カルテにペンを走らせながら説明するアーサー医師が、ふと、ミンチョルを見た。
「ケイン会長が、奥様の様態を心配されておられました。
 今、お話したような説明をいたしました。
 それでも、ケイン会長ご自身も持病が悪化されたご様子で、
自宅療養を余儀なくされているということでした。」
「会長は、ご病気でおられるのですか?」
「はい。イタリアに住んでおられた頃、肺がんの手術をされてからは、しばらくお元気になられたようでしたが、もう片方の肺もよい状態ではないようです。
 それで、なおのこと、奥様の様態がご心配なのでしょう・・・。」
いつも、ヨンスを心配しては、くだものや花かごを送ってくださっていたのだ。
今度は、ミンチョルがなにか、お見舞いをしなければ・・・。
ヨンスの待つ病室へ入ると、ヨンスは栄養剤の点滴をしているところだった。
「先生は、なんとおっしゃいましたか?」
「うん、子どもの名前を早く決めるように・・・」
「それで、決まりましたか?」
「・・・イ・ミヒャン・・이 미향・・Lee Mi Hyang」
「まぁ・・・かわいいわ。 
ミヒャン・・・ミヒャン・・・。」
夢を追うようなひとみで、天を見ながらおなかをそっと触った。
「あさっての午前中だそうだ、手術は・・・。」
「・・・まだ、小さいでしょう?
 そんなに、はやく取り出しても大丈夫でしょうか?」
「おもったより、成長もはやく、比較的元気な子だそうだ。
 きっと、保育器からも、すぐに出られるだろう・・・。」
「まだ、おなかの中にいたいでしょうに、私の病気のせいで、悪いことしたわ。」
ミンチョルは、点滴をしているヨンスの腕をそっとなでた。
「・・・子どもにあえるなんて、夢のようだよ。
 僕と君の子だよ。
 信じられる?
 僕は、ずっと、家族は作らないと思っていた。
 それが、君と出会って、子どもができて、これほどに感動することを覚えたんだ。
 君と、生まれてくる子にどれだけでも感謝して生きていくよ。
 僕のことを、こんなにいい人間にしてくれたんだからね・・・。」
その思いは、ヨンスも同じだった。
家族を知らずに生きてきたこれまでが、まるでうそのように遠くの世界に感じる。
小さいときから、この人と出会ってこの子を産む運命にあったのだろう。

その日は、ミンチョルのベッドをヨンスのベッドの横に持ってきて手をつないで眠った。
トイレに起き上がることもできないヨンスは、看護士の手を煩わせることになったが、
そのときだけは、ミンチョルには退室してもらっていた。
翌日は、術前検査で一日が費やされた。
夜には、ミンジが来てくれて、少し食欲も出たようだった。
明日の手術が早いからと、早めに就寝した・・・。

ミンジは、リビングのソファベッドに眠った。
ミンチョルは眠れるはずがなかった。
子どもに会える喜びよりも、ヨンスがこのまま、命を落とすようなことにでもなったら、どうすればいいのか・・・。
テラスに出て、ベンチに腰掛けて、ぼんやりと夜空を眺めていた。
満天の星がちりばめられた夜の帳は、ソウルよりも断然美しかったが、今のミンチョルには、その星々さえも目にははいらなかった。
うっすらと、西の空が蒼く色を変えだしたとき、夜が明けた。
この日が来たのだ・・・。



댓글 '4'

mica

2005.09.08 02:23:42

maria chris様、こんばんは。
首を長ーーくして、お待ち致しておりました。
起きていて、本当によかったです!

映像と素敵なBGMだけで切なくなり、冒頭から涙が溢れました。。
二人のお互いを想い合う気持ちに、「絶対絶対、大丈夫!」・・・と、
自分に言い聞かせながら、読み進めました。

赤ちゃんの名前・・・ミヒャンなのですね・・・!!
ここに辿り着いた時には、もう大号泣。。。。
今も、キーボードを打つ手が震えます・・・

どうかどうかどうか、ミヒャンが無事に生まれますように・・・
親子3人で、幸せに暮らせますように・・・

美日々にはつい過剰反応してしまい、また勝手なことを書いてしまいましたが、
どうぞお許し下さいませ。。
次回も、楽しみにお待ち致しております♪



tsuyatti

2005.09.08 10:16:57

maria chrisさま、おはようございます。
家のPCが調子が悪く会社で読んでいます。
これから仕事なのに・・・、うーーー涙が・・・やばいです。
どうかミヒャンが無事に生まれますように、
ミンチョルとヨンスに笑顔が戻りますように・・・。
次回を楽しみにしています、ありがとうございました。

miharu

2005.09.09 00:54:56

こんばんは。
夜中にアップされたとき、
「早く読みたい・・・・でも、映像をみてから!!」と
自分に言い聞かせて、じっくり「美しき日々」の
映像をみてから、「・・~それから・・~」を
読ませていただきました。
こうしてみると、ここまでくるのに、
いろんなことが、あったんだ・・・としみじみ思いました。
いろんな試練を乗り越えたふたりです、
きっと幸せにならないわけがないと、思っています。
次回、とても楽しみにしています^^
宜しくお願いします。


nanncy-☆

2005.09.13 09:05:19

miyhann.ミヒャン素敵な名前付けてくださってサンキュッ (v^-^v)♪
無事に生まれて親子3人幸せな日々が来ますようにお祈りします。
このまま幸せになってもいいわよね。神様はごほうびくださいますよね。二人に!
美しき日々は何度見ても飽きないのはなんででしょう。
映像と音楽と文字とじっくり読ませていただきしあわせです。
次回待ち遠しいです。お体に気をつけてご自愛くださいね。
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